Another Talk「美味しい旅本」アナザートーク

『美味しい旅本1』~美味しい余話 Ep.4~
『美味しい旅本』シリーズ3冊目の発行にあたって、これまでのご登場いただいた皆さんの対談から、紙幅の都合でカットせざるをえなかったお話の一部を公開!対談の収録内容の文字起こしから、その語り口などもほぼそのままにお伝えします。
合同会社COCOSATO/料理人、薬膳インストラクター 三浦友加さん
(インタビュー日:2023年1月16日/対談のお相手:伊藤新吉さん)
――庄内にUターンした理由
出羽三山との出会いがすごく大きかったです。幼稚園の時に初めて爺杉を見てわーっ!としびれて感動して、ここは特別な場所に違いないって。高校卒業まで鶴岡にいて、でもほとんど地元の文化を知らず、ちっちゃい時は松の勧進が来るとなんだか怖くて家の中に隠れてました(笑)。大人になって出羽三山に来る機会を何度もいただいて、山伏修行もして、いろいろな方にお世話になって教えていただくうちに、ここの文化は未来につなげないといけないというか、とてつもなく大事なものがぎゅっと詰まってるなって。
――出羽三山の精進料理と山伏修行
出羽三山の精進料理をいただいたときに、植物性の食品だけで十分みなぎるこの感じはなんだろうって気になっていたんですけど、昔は一汁一菜で日本人は元気に働けたわけで、まさにフードロスとかアニマルウェルフェアの問題ともすごくリンクして、世界的にこういう感じのリズムの、プラントベースっていうんですかね、植物性のものを中心とした生活の方が体にも心にも良くて、命にちゃんとリスペクトがあって。これからの生き方にリンクしているように感じて。
庄内に帰ってくるまで玄米とかほとんど食べたことなかったんですけど、元気なおばあちゃんとかおじいちゃんとか玄米を食べてる人が結構いらっしゃって。「亀ノ尾」をごはんとして食べてる農家さんもいて、分けていただいたらめちゃくちゃおいしくて。昔ながらの農法でお米を作ってる方もいるし、原始的であればあるほど魅了されるというか。ここにはいい食文化がいっぱいあるなと。おじいちゃんおばあちゃんから昔の食文化を聞いたり、笹巻きとか干したこごみの上手な戻し方を習ったり、すごく貴重でありがたくて、とても尊敬してるんです。
山伏修行では何日も山にこもるんですけど、疲れてるはずなのに、疲れない。土をちゃんと感じて、のぼる時も手を使って、五感で大自然とふれあって、食べるものもそこに生えてるビシビシ元気なものをいただいて。ぜんまいが生えてるのを大人になって初めて見たんですけど、根っこからせり上がってすごいですよね。生命力を感じるというか。こごみとかは20本くらい出ていても、全部採りきらずに何本か来年のために残しておくって。先人が未来のために考えて知恵を絞って、採ったものも全部食べてしまわず一部は干したり塩漬けして保存しておいたりとか、未来への念を込めてじゃないですけど、祈りというか、ちゃんと生きていけるようにと考えられていて。
――庄内の旅のすすめ
県外の方を今まで何回か案内してるんですけど、喜ばれる場所は出羽三山神社だったり湯殿山神社だったり、あとは丸池様とか。その道中に石碑も多いんです。草木塔とか、即身仏になられた鉄門海上人が建立した石碑も多く見られます。庄内の人たちって、目に見えるものも見えないものも、生きてる人もあの世の方も大事にされると思うんですよね。魂が鎮まる御山の月山が身近にあって、ご先祖様のありがたさとかを常に山を見ながら感じられるこの地域で、命について考えたり祈ったりして、身も心も健康に生きていってほしいなっていうか。庄内って励ましをもらえる場所なんだと思っています。